2013年10月29日掲載
2015年に向けて スー・チー氏の改憲主張
ビルマの民主化が私の政治活動の一つの根っこになっています。その経緯については過去の記事をご覧ください。
昨年4月にスー・チー氏は下院議員に当選しました。日本国憲法を持って応援に行きました。
どこの国の民主化も私の年来の仕事です。
08年に軍事政権が制定したままの現憲法が、テイン・セイン政権になってもそのままです。その憲法では正副大統領の資格要件を「配偶者や子が外国人ではないこと」としています。
—旧軍事政権の憲法—
これはあきらかにスー・チー氏を考えに入れた排除のための憲法です。
軍事に精通していること、国会議員の25%が軍人であることなど軍政国家、軍事政権の色の濃いものとなっています。この憲法改正については、7月に国会に憲法調査委員会が設置されており、8月に年内に報告書を出すことを決めています。
—圧倒的に不利—
この報告書に改正条項、案が示される見通しです。
与党の連邦団結発展党(USDP)党首のシュエマン下院議長は「委員会の報告に基づいて改正される」といっていますが、109名の議員でできている委員会にも問題があります。
国の議席数に応じ配分されているため、USDPが52人、軍人議員が25人と政府系で過半数を越しています。スー・チー氏の国民民主連盟(NLD)は7人にすぎません。
スー・チー氏は10月22日に欧州議会で「憲法改正にこだわる」と訴えた背景には国際世論を味方につけようとする意図があります。
「欧州議会も改憲の必要性を表示すべきだ」と応援をたのんでいます。
—対抗勢力となるかも—
スー・チー氏とNLDは、昨年4月の選挙後は旧軍事政府幹部と協調してきました。
それは父の故アウン・サン将軍の軍隊での影響力がまだ残っているという読みからです。しかし報告書の結果によっては、批判勢力として政府に対抗する方向に転化する可能性もあります。
目が離せません。
2013年10月28日 記