六月の剣道
先月お話した岡憲次郎範士の箴言の続きです。岡範士は「剣道とは自分の命を取ろうとしてくる相手を目の前にして、方便に従って仮に勝敗を試み、今の此処の精一杯の自分を自己創造することである。」とおっしゃっています。
わたしは岡範士のこの指摘をこのように言い換えて理解しています。「自分の命を取ろうとしてくる相手を目の前にして、剣道では方便に従って仮に勝敗を試み、いま、ここという瞬間に自分を生かす工夫をすることである。」と。
全剣連では気剣体一致を有効打突と言っています。しかしいま、私たちの使う剣は、真剣ではなく竹刀です。なぜ気竹一体と言わないのでしょうか。
竹刀を切れる真剣のつもりで使うことを求めているからです。岡範士の言う「命を取りに来る相手」は真剣をもっています。 岡範士は真剣であれば簡単には切りにはいけないはずだ、ともおっしゃっている。
私たちは真剣の代わりに竹刀を持って、死ぬことのない方便の,仮の世界で剣道をします。しかしその大本は真剣で命のやり取りという、厳粛な行為をしていることを忘れてはなりません。私たちの教育剣道が、礼儀正しい謙虚な行動を求めるわけがここにあるのです。
お知らせ
王子神剣会は六月から定例稽古の前に、教育剣道の座学を開きます。座学とは講義です。月の第一、第三、第五の6時からです。15分程度です。楽しみにしてください。
全日本剣道連盟公認指導員 スポーツ医学検定 救急技能認定 学芸員
教士 剣道七段 和田宗春
王子神剣会
王子神剣会では見学を歓迎しています。
希望される方は、事前にご連絡ください。
会場:北区立王子桜中学校 2階 武道場
時間:日曜 午後6時〜8時
会費:月1,000円
おたずねは 全日本剣道連盟公認指導員 剣道七段 和田宗春まで
連絡先:〒115-0056 東京都北区西が丘2-23-6
電話:03-5993-6186(留守電の場合は必ず名前と電話番号をはっきりと吹き込んでください)
2026年6月 和田記
和田宗春の剣道教室 第十回
剣道では「充実した気勢、適正な姿勢で、竹刀の打突部を、刃すじ正しく打突し、残心あるもの」を有効打突、一本としています。
ここでいう適正な姿勢とは、竹刀で部位を打った時の姿勢がよいということです。
すなわち打って打突した体が、左右、前後に偏りすぎない整った状態をいうのです。打ちこみ棒、打ち込み台で試してみてください。
打ってみると思うようにはいかないものです。初心者のうちは竹刀を持つ上肢(腰から上)に力が入り、前のめりになって打ちます。打つ気が張っているためで、良いところもありますが、体の足も合わせて動かす必要があります。
この有効打突は奥深いテーマです。そして私たちが求めて(修行して)たどり着くのが気剣体一致の有効打突の剣道です。自分で体を使って覚えていくことです。皆さん(教育剣道の仲間)と考え、書物を読んで、先生に尋ねて、稽古を重ねて「教育剣道」の気剣体一致の一本を求めに行きましょう。
2026年5月15日記