2015年2月25日掲載

和田宗春の教育1

—中学校の教育剣道(13)—

2月23日(月)

2時限目、8回目、1年1・3組

 立礼、座礼、防具つけ。

 試験は切り返しという通告。あらためて相互いの礼、3歩前、蹲踞、気合を大きくかけて振りかぶり、正面打ち、体当り、右面から4歩4打前進、後退、右面から5歩、正面を打ち抜けて、残心の確認。重要なことは、大きな気合、正しい打つ部位、残心の3つ。各生徒が通告後の態度が変わったように見えます。気合が道場に響きます。右面の位置は面紐の上という具体的な指示がわかりやすいようです。

 その後に2〜3段打ちの小手・面。この技は小手を打ち損じたり、かわされた時に面に打って出ることを説明。あらかじめ小手、面を打つことを予定するのではないことや小手を打って一泊をおくことなどを解説します。打ち急ぐ生徒は面の間が近すぎて元打ちになりがちです。小手・面はリズムで打つといいます。応じ技を1つ知ってもらうために小手すりあげ面を取り上げます。打っていく、打たれるだけでなく、打ちをかわして打って勝つ工夫とその後の達成感を味わってもらいます。

 特に元立ちがかかり手よりも心配りをすることが重要であること。上手に打たせることが難しいということや打つ生徒との信頼感を育てることになることなどを説きます。打たれるという受け身であると打たれるという被害意識を持ちがちですが、積極的に打ってもらって相手が上手になってもらう気になることで競いの剣道から人間関係をつくる剣道となります。

 相手の面をよく見て、小手に当たる直前に剣先を相手の体の中心に止めたまま、右小手を甲の上に向けてひねって鍔元で払ってかわしつつ振りかぶって面を打ちます。

 小手を怖がらずに前に出すようにして払うことで打て、避けて逃げない勝ち方を教えます。前に出る積極性、攻める心が鍵となります。上手くすりあげ面が決まって打ち抜けて残心が取れた時の快感を知ってもらいます。面をとりながら、こんな風に決まると楽しいと言う生徒がいました。

 打たれるかかり手も、小手が外れて打たれても気持ちがよいという感想もあります。

3時限目、7回目、1年2組

 立礼、座礼、防具つけ。試験は切り返しといって、2時限目と同じ重要な点を3つ説明します。その後に3点を確かめつつ切り返しを繰り返します。さらに面打ちの試合をA、Bの組にわけて行ないます。正しい面打ちをしたほうを勝ちとします。試合というだけでそれまでの姿勢と違った積極性が出る生徒がいるので驚きです。気合いを出せる生徒、勢いよく前に出て打つ生徒、気だけ焦って手が振れていない生徒、雰囲気にとらわれ何もできない生徒、たとえばバスケットボール、サッカーなどの集団のスポーツですと集団の自分という役割でしたが、剣道は自分のことを自分ですることとなり退くことのできない立場です。自己判断、自己責任ということになります。試合の場では自分だけです。この孤立感を味わえる剣道のよさを伝えます。

5時限目、8回目、2年2・3組

 立礼、座礼、防具つけ。

 試験は切り返しと通告。1年生と同じ重要点3つを説明。正面打ち、気合、打つ部位、竹刀の物打ちの部位、残心などの確認、切り返しを激しく、大きくを繰り返します。試験の件を言ったので熱心さが増したようです。その後に胴打ちの実演。

 剣道の打突部位は4か所、面、突、胴、小手、中学生までは突は省いて3か所です。

 胴は左右ありますが、主に右胴を打つこと、胴が打てるのは面、小手などを打ったり、避けたりする時に空いた胴を打つことを説明。打つ時は床に平行に打つのではなく斜め上から45°の角度で打ち下すように打ち、相手の左に送り足で打ち抜けること実演します。その時は相手から目を離さず肩を伸ばしたまま打ち抜けて残心を示すことを強調。

 生徒からはどうしても腰が曲がってしまう、打った後は歩み足でよいのか、という質問もありました。それぞれ打つことだけでなく姿勢を正しくして打つという2つを同時に行なうことで別々のものでないこと、歩み足では体の移動に上下動が出て不安定になるので送り足が好ましいと答えました。

2015年2月24日 記