2023年9月16日掲載
剣道と44年の付き合い
【20】一人稽古の大切さ
稽古相手がいない時、どのように稽古時間を維持するか。人にもよるが、剣道の全国審査を目指した場合、一週間に2、3回の稽古が必要ではないか。前にも触れたが野球、ゴルフを問わずある水準の技量まで行こうとすれば、必然として一定の稽古や練習時間が必要とされる。稽古場にいる時間は2時間でも、実際に竹刀を相手とかわす時間は数10分であろう。その間に看取り稽古をしたり、鏡を見たりするので立ち合いの時間は長くない。それでも相手との稽古を主にせざるを得ない。相手を必要とするのは剣道感覚を曇らせないためである。その相手のいる稽古が出来ない時の生かし方が、大切である。次善の策として一人稽古がある。ある課題を決めて一人で鏡の前で、繰り返し稽古する。相手がいないだけに両足の間隔、摺り足、首の位置、竹刀の攻めの間合い、振りかぶりの竹刀の角度など納得するまで繰り返す。私の場合は、一時間程度点検する。
いろいろな楽しい工夫
一人なので目標を自分で見つけて明るく続けられるようにする。怠けようとすると自分だけの気持ちで怠けられるからだ。意思の稽古にもなる。これで随分と今まで指摘されてきた個癖を修正できた。一人で稽古することに慣れないと稽古時間が取れない、剣道は二人以上いなければ出来ないと考えがちである。私の七段の合格には欠かせない稽古法であった。いまでも近くの体育館で、毎週一時間、一人稽古をしている。同じことを3年繰り返してきた。蝦蟇の油の蝦蟇の様に鏡の自分を見つめながら、工夫している。
いまはハンマー投げの室伏広治さんのいう、呼吸法を身に付けようと新しく課題を増やしている。この効果がいつ出るのか楽しみである。
道場に行って、相手がいなければ稽古が出来ないと考えず、一人稽古のなかで、自分なりの稽古法を編み出すことも大切であろう。竹刀を持って鏡の前に立つだけで気剣体が確認できる。
これを試すために出稽古にいく。結果をまた一人稽古で補正する。この繰り返しが私の剣道修行と言える。
2023年9月9日 記