2023年11月12日掲載

剣道と44年の付き合い

【25】剣道と社会とのつながり

 公立中学校の武道場で稽古が出来る。もう40年以上、この学校にお世話になっている。

 一回、1000円以下の使用料である。冷暖房はないが扇風機はある。快適に都市の暑さの中でも稽古が出来た。私たちの会では、昇段、昇級すると自発的に社会福祉協議会に寄付をする人もいる。王子神剣会としてである。協議会の解放に載る。ささやかな寄付であっても、社会があって学校の理解で剣道が出来ることを、感謝するためである。

 かつて都の公立校に剣道を指導する教員が少ないことから、社会体育指導員を民間の剣道指導者として派遣出来るようにした。東京都剣道連盟の岡村忠典八段などの力を借りた。

 すでにあった全剣連の初級、中級、上級の社会体育指導員という制度の活用である。全剣連が社会と繋がろうとする意欲があった。その有資格者として指導員も務めた。時給千円ほどが出た。

—剣道は社会に積極的に関わる—

 地震、洪水、台風のとき、剣道の出来る環境に感謝して、その気持ちの表れとして寄付をする。社会が平和であるから剣道が出来る。自分の娯楽、スポーツという人がいても良い。しかし、わたしたちの会は、強制ではなく自発的にいくらでも形にあらわす。剣道の理念を人間形成とする全剣連の姿勢も良い。だが、それを自分以外の他者、社会に広げることで剣道は目に見える形で社会とつながれる。剣道は一対一の武道である。そこで人間形成となるのだが、これからの剣道は個人の人間形成を通して社会とつながる必要がある。剣道は武道であって、スポーツとは思わない私は、あえて社会とつながることで剣道を開かれた武道にしていきたいのである。

2023年9月 記