2023年12月9日掲載
剣道と44年の付き合い
【26】教育剣道とは その1
剣道に教育の側面があるのはだれでも、知っている。もともと剣術の時代から上手な人から教わったからである。教育する者される者の区別は自ずからあった。それが相手を打つ技術だけにとどまらず、心の持ち様を加えることによって剣道となった。
私が建武館に入門した昭和45年(1978年)当時でも、大島日出太館長は剣術といっていた。ここでは改めて教育という畏まった表現はなかったが、礼儀などは先輩の真似をして身に付けていった。
ある時こんなことがあった。疲れて胡坐で袴をたたんでいると、正座でするものです、と古谷という7段の先生に指摘された。恥ずかしさで、いまでも記憶している。
日常の振る舞いから、剣道界の社交まで身に付けていった。これも剣道教育である。
個人の修練から社会の創造まで
個人と剣道の関係を発展させていくと社会、国、国際関係にまでいたる。
全日本剣道連盟の会報を「剣窓」という。平成16年(2004年)の270号に「剣道の新展開」として、個人領域から社会科へ、都立高校の教師ではない民間人の外部指導員の実績をあげ、中体連・中学校体育連盟にまで外部指導員を採用するべきであると指摘した。場所は学校である。いわゆる剣道を指導するのは民間人である。いわゆる社会教育である。閉鎖的な学校に、剣道の熟達者の指導員が参加することで、個人の趣味の剣道から教育としての剣道が生まれる。実技だけではない、剣道の歴史、体の生理、骨格まで理解している指導員である。全人格的な均衡ある常識で、教育の一環に参加する。
こうして社会と剣道は繋がり、広がって世界すなわち国際的に相互に影響しあっていくことになる。
2023年9月 記